主体性を発揮『しやすい』人と、そう『なりにくい』人の違い

投稿者: | 6月 11, 2025
主体性を発揮

Be proactive

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、その人が本来持っている性質の善し悪しではなく、その人が置かれた状況や、これまでの経験、その時の心理状態など、様々な要素が複雑に絡み合って生まれる「行動の現れ方の違い(行動の選択の違い)」である、と考えられます。

具体的には、以下のような「要因」が、主体性を発揮する行動を促したり、あるいは抑制したりします。

「考え方の傾向」(マインドセット):

  • 「自分にも状況を変える力がある」「自分の行動が結果に影響を与える」と信じる傾向があるか(自己効力感)。
  • 「挑戦から学び、失敗を次に活かせる」「自分は成長できる」と考えるか(成長マインドセット)。

これらは「良い・悪い」というより、これまでの経験や教育、周囲からの影響によって培われた「物事の捉え方や認知のスタイル」です。

「安心感と信頼」(環境要因):

  • 自分の意見を言ったり、自分で判断して行動したりしても、否定されたり過度に批判されたりしない、という心理的な安全性があるか。
  • チームや組織、あるいは関わる人との間に信頼関係があるか。
  • 主体性を発揮する行動が「余計なこと」評価されるのではなく、「良いこと」として評価され、サポートされる文化や雰囲気があるか。

これは個人の内面というより、その人が属する「グループ・組織が作り出す環境」から受ける影響が非常に大きいです。目には見えない同調圧力、意見が通りやすい人、パワーを備えた人の偏った価値観などが考えられます。

「目的や状況への理解度と共感」:

  • 何のためにその活動が行われているのか、という目的や背景を理解し、共感できているか。自分の行動がどのように全体に繋がるのかが見えているか。
  • 自分の役割や、現在の状況がどうなっているのか、という必要な情報が明確になっているか

目的が不明確だったり、情報が不足していたりすると、自ら考えて動き出すことは難しくなります。これは「情報やコンテクストへのアクセスと理解」の問題です。

「経験とスキルの有無」:

  • 過去に自分で考えて行動し、成功したり、そこから学んだりした経験があるか。
  • 問題を特定し、解決策を考え、計画を立て、実行するといったスキル(行動力、問題解決能力など)を持っているか。

これらの経験やスキルは、後天的に「獲得されるもの」であり、主体性を発揮するための「手段」となります。

「エネルギーや心理的な余裕」:

  • 心身ともに余裕があり、新しいことを考えたり、いつもと違う行動をとったりするエネルギーがあるか

過度なプレッシャーや疲弊している状況では、主体性を発揮するよりも、言われたことを正確にこなすことで精一杯になることがあります。これは「その時の状態」や「利用可能なリソース」の問題です。

 このように考えると、主体性を発揮するかどうかは、その人が本来「良い人」か「悪い人」か、という本質的な優劣の問題ではなく、「主体性を発揮するための『スイッチ』が、その時々の様々な『要因』によってONになりやすいか、OFFになりやすいか」の違いである、と言えます。

 指示待ちに見える人も、興味のある分野や、安心できる環境、明確な目的が与えられれば、驚くほど主体性を発揮することもあります。逆に、普段主体的な人も、不信感のある環境や、過度なプレッシャーの下では、主体性を失うこともあります。したがって、「主体性を発揮できる人/そうではない人」という固定的なレッテルを貼って個人を判断するのではなく、「どうすれば、この人が、あるいはこのチームが、主体性を発揮しやすくなるだろうか?」という視点で、環境や関わり方、情報提供の仕方などを考えることが、より建設的と言えるでしょう。

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